白のクレヨン

春の嵐がおさまった翌日

スケッチブックと

クレヨンと

サンドイッチとコーヒー持って


ひょい


と電車に乗りました


海が見えるあの駅まで

誰にも言わずに

誰にも会わずに


ゴトンゴトン


と揺られていきました


青い青い空と

青い青い海の間に

小さな小さな無人駅


ぺこり


誰もいないけど

なんとなく改札でおじぎした


てくてくとことこ

あるいてあるいて


よいしょ


すわりこんで

まっしろなページに

まっしろなクレヨンで


好きなように

好きなことを

たくさんたくさん描きました


誰もいない

誰も見てない

よくよく確かめて


まっしろなページに

まっしろなクレヨンで


好きなことを

好きなように

たくさんたくさん描きました


そうして

どこかに隠しておこうと


こっそり探しているのです