術(すべ)

桜の残像は

体の奥に

夕闇のように横たわる


甘い秘め事は

見送るために

やさしい言葉は

忘れるために


こわれずに

歩くための術(すべ)は


季節風のように

あなたが告げた

あのささやきだけ


ナイフのように

突きたてた

あの記憶だけ