むかしむかしあるところに
音楽の大好きな少女がおりました
歌うことより奏でることより
耳をかたむけるのが
何よりお気に入りの時間だったのです
ある日
少女は旅の青年から鈴を譲り受けました
鈴は青年の歌声と共に
この星の街という街で
たくさんの人々を笑顔にしてきたのでした
ずっとずっと長い間
少女は鈴を大切にしました
使いこまれて少し褪せて
手にとればシャララと鳴って
みんな笑顔になりました
幾度も波が寄せては返し
幾度も月が欠けては満ちて
幾度も雨が上がりました
すっかり大人になった少女は
旅する歌姫に鈴を託すことにしました
この星の街という街が
夢と歌声とたくさんの笑顔で
いっぱいになるように
シャララと鳴って
幸せがあふれるように
むかしむかしのお話
そして
これからずっと先のお話です
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