嘘つきなかみさまはもういない

悪夢をいくつも量り売りして

それでも飽き足らず

家出した猫の横顔に憧れ

裏切りなど試してみる


降り注がれた思いは

まだ胸を裂くに至らず

とぼとぼ帰る道すがら

傷ついたふりをしてみる


嘘つきなかみさまはもういない

大好きだった時間とふしぎな生き物

春と冬の花が今日も満開で

旅人は琴(きん)を爪弾いている