歌姫

その奏では

種に宿り

遠くまで流れて

だれも知らない花が咲く


香りにそっと体をゆだね

頬杖ついて

涙を流す


あの頃の

渇いた夢をくちびるにのせ

ささやかな日常を歌い続ける


変わり続ける未来すらも

何も変わらない過去さえも


歌の中に

奏での中に


そして祈りの中に